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青年が105号室に再び入居した翌日、大家のところにまた来客があった。えらく慌てた様子の年配の女性でね。開口一番、うちの子は、と訊くんで、すぐに思い出した。数年前、青年を田舎に連れ帰った彼の母親だよ。どうも、青年はまだ療養中で、田舎から出るのを許されていなかったみたいなんだ。ところが、おうちのお金をくすねて、脱走してきたんだね。田舎ではずっと絵を描いてたそうでさ。こっちでは眠ってばかりいたのが嘘みたいに、夜っぴて絵筆を振るっていたらしい。大家は事情を知らなかったから、青年に言われるままに部屋を貸してしまったと伝えると、母親は飛び出していった。何かトラブルがあっちゃまずいから、大家も後をついてアパートへ向かった。
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