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依頼人の山田という女性は、そこまで話を聞いて立ち上がった。
「今から、マンションに戻って確かめてみます!一緒に来ていただけますか!?」
「はい……実は、その通りでして……うちも猫を飼っています。メス猫です。ブラピちゃんが、ほぼ毎日、口にくわえて持ってくる山田さんの下着を、どうやって返そうかと……正直、毎日ノイローゼみたいな感じに……」
「下着は?」
同行した一正が、橋本という、その男性に聞くと、
「そごうの紙袋の中に全部、入れてあります。今、お返しします!」
「山田さん、隠していてすみませんでした。それと、この前は、あんな汚い言葉を、あなたに向けて吐き出してしまって……」
「いえ、とんでもない!まさか、うちのブラピが、犯人だなんて。こちらこそ、すみませんでした!」
事件は、こうして無事に解決した。
「お~い!遠藤一正!」
兼松所長と、蝦夷ミチルが、市役所の午後五時を知らせるベルを聞いた後、一正に、
「これから、三人で飲みに行くか!?」
「おっ!いいですねぇ~!行きましょう!」
NPO探偵事務所~暁の最初の依頼は、遠藤一正の活躍で、無事にスピード解決を果たした。今度は、どんな依頼が舞い込むのだろうか……乞うご期待!
依頼2~蛙(かえる)の子は蛙
NPO探偵事務所~暁に、新しい依頼が、舞い込んできたのは、まだ、暑さの残る九月中旬くらいの事だった。
「……失礼します……」
依頼人は、どことなく気品漂う着物姿の、初老の女性だった。
「今日は、所長の兼松が、飼い犬に尻を噛みつかれて、病院に行って治療をしておりますので、私が、お話をお聞きいたします。遠藤と申します。よろしくお願いいたします」
遠藤一正は、出来たばかりの自分の名刺を、依頼人の初老の女性に、差し出した。
「……ガールズバー・オアシス……?」
「あっ!間違えたっ!!失礼しました!こっちが、本物の私の名刺です!!」
一正は、行きつけのガールズバーのあんずちゃんの名刺を、間違って依頼人に差し出してしまった。事務員の蝦夷ミチルが、呆れた顔で、天井を見上げた。
「そ、それで、今回の依頼の内容は?」
一正は、ミチルが用意してくれた、麦茶を飲んでから、話を切り出した。
「実は……こんな事、とても恐ろしくて、大きな声では、言えませんが……」
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