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「男前なセリフ、どうも」
真剣に身を乗り出した私の頭をくしゃりとひと撫でして先生はおかしそうに笑った。
笑ったんだ。
ねえ、先生。
私、先生に笑顔をあげられるよ。
「ね。私にしませんか。先生」
「だーめ」
「どうしても?」
答案用紙を携えて、先生が立ち上がる。
残念ながら、私の1年越しの哀願は聞き入れてはもらえないようだ。
「言っただろ。お前ら『みんなを』愛してるって」
だって私は、先生が愛してやまない生徒たちの中の、とあるひとりにすぎない。
私はいったいどうしたら、先生の特別なたったひとりになれるんだろう。
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