はじまり

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はじまり

司会者:人間の脳波、行動する時に出る微弱な電波、     一昔前にはオカルトの類と言われたオーラまで、     再現し、ロボット技術に応用され、     微細な感情表現まで出来るようになったロボットたち、     そのロボットたちがやることなんて1つしかありません。     戦争ですか? ある意味戦争でしょうか?     人間にとって代わることですか? 少々惜しいかな?     正解は芸術分野に参加することです!     さぁさぁさぁさぁ!     今日はロボットお笑いバトル”ロボワラ!”の準決勝です!     お越しの皆様、大いに笑ってやってください!     それでは1組目!     正統派漫談家『花形の庭野郎』です! どうぞ! (舞台袖から、花形の庭太郎を見ているロボットの影) チャ太:ついに始まってしまった……。 イチ助:おい! まだ出番までだいぶあるぜぇ!     おにぎり食おうぜ! おにぎり! チャ太:そんな気分にはなれないよ……。 イチ助:うちら三回戦の結果すげぇ良かったから、すげぇ後半だぜ。     ずっと舞台袖で立ってたら、いざ本番、座りたくなりまくるぞ。 チャ太:疲れて立っていられなくなるとかじゃなくて、座りたくなるのほうなんだ。 イチ助:だってうちらは元々土木作業用ロボットじゃん、疲れはしないでしょ。 チャ太:まあしないけどさぁ……。 イチ助:まっ! まだ時間たっぷりあるから好きにしてていいかっ!     でも出番まであと3組くらいになったら一緒におにぎり食おうぜ! チャ太:うん、せめて8組前で食べようかな。 (イチ助、その場を後にする。  背中でバイバイのポーズをしたあと、何故か自分の二の腕を軽くキスして去る) チャ太:急にバイバイの二の腕を愛おしくなるなっ……って、     もー、イチ助は本当に緊張しないなぁ、いつものハイテンションが羨ましい、     というかロボットなのに何で     こんなに緊張して、手が震えて、額にじんわり汗も……。     こんな微細な感情表現はいっそのこといらないよ……なんて、     どんなロボットにも備わっているから、僕らもお笑いが出来るんだよなぁ。 (チャ太の回想シーンへ)
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