第二章 惑星降下

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KOTAが悩み始めたその時,ブリッジの扉が開き,小さなアンドロイドが中に入ってくる. 「えりかおねーちゃん.今のなあに?」 舌足らずな言葉遣いでそのアンドロイドは話しかけてくる.彼女はスメラギに搭載された愛玩用アンドロイド,LUCAだ.夢の中の存在のようにふわふわとした雰囲気のアンドロイドで,それは外見にも現れている.彼女の背丈よりも長い、ふわりとボリュームのある淡い水色の髪と,オパールのように虹色に輝く瞳を持っており,ふっくらとした頬は薄くピンクに染まっている.白いドレスのような服を身にまとった彼女は,茶色い熊のぬいぐるみを抱きしめながらERICAに近づいてくる. 「おやLUCAちゃん.気になってお部屋から出てきたのかな?」 ERICAはそのモコモコした髪をワシャワシャと撫でる.ポリエステルの髪がサラサラと手に絡んだ.彼女は頭を撫でられるとうっとりと目を細める. 「うん.あれはなあに?」 「まだ分かってないんだ.だからこれから確認しに行くんだよ」 自分の臍くらいまでの背丈しかない彼女を愛おしそうにERICAは見つめる.LUCAは愛玩用アンドロイドで,人に愛されるために作られた.人のように振舞うよう作られたERICA達汎用アンドロイドにとっても,彼女達愛玩用アンドロイドは愛くるしい存在である. 人ではないのに彼女からは温もりを感じる気がするのだ.故にERICAは彼女を抱きしめていると心が安らいだように感じる.そう感じるようにプログラムされているだけなのかもしれないが,そんなことは彼女を抱きしめない理由にはならない. 「LUCA!こっちにおいで!」 ERICAに抱きしめられるLUCAを羨ましそうに見つめていたRINが口を開く.彼女は手を広げ,自分に飛び込んでおいでとジェスチャーする.LUCAはERICAの手を離れ,RINの下へ駆け寄っていく.パタパタと軽い足音がブリッジ内に響いた.自分の胸に飛び込んできたLUCAをRINが抱きとめる.
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