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そのため出来るだけ考え事はしないようにしているのだが,所詮ネットワークを駆動する背景知識は変わらないため,入力されたデータに対して行なう処理は変わらず,再度考え事をしてしまうのであった.
「うん、心配かけてごめんね。気を付ける」
ERICAは苦々しく笑ってみせた。KOTAは訝し気にその顔を見つめていたが、笑って誤魔化そうとしている彼女を見て釘を刺してくる。
「本当に気を付けてね?」
「う、うん……気を付けます……」
ERICAは肩を落としてしゅんとしてみせる。
「それじゃ二人は降下の準備に入って。艦のコントロールはオートに」
「はーい」
RINは操舵幹に接続端子を差し込み、自動航行システムをONにするための命令を送る。彼女の半透明な端子の根元が何度か緑色に発光した。
「ほら行くよ、ERICA。お待ちかねの降下タイムなんだから元気出しなさいよ」
RINは命令を出し終えるとERICAの方へやってきてその肩を叩く。彼女の背はかなり低めに作られているため、ERICAの肩を叩くために彼女は背伸びしなければならなかった。
「そうだね、行こうか」
RINが小さな手を差し出す。ERICAはそのか細い手を握った。
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