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「でもね、結局はお預け状態で帰るんだろ?逆に欲求不満にならないかい?」
するとヒデちゃんは人差し指を「チッチッチ」と振って見せ、
「ああいうところではね、ずっとエッチな行為に励んでると、そういう錯覚に陥ります。それよりも嬢を如何にしてお店の外へのデートに誘うか、それがオイラの楽しみ方なんですよ。チューやらパイパイはそこそこにして、勧誘作戦に集中するんです。」
「それは聞き捨てならないことを聞いた。それでヒデちゃんは今までに何回デートしたことがあるの?」
「それがね、敵もさるもの引っかくものってね。まだ一回コッキリですよ。それも出勤前の同伴デートで夕飯奢らされただけっていうヤツです。」
しょぼくれた顔をしたかと思いきや、さらに浩市に挑んでくる。
「それはともかくとして、まずはメールアドレスの交換かラインのやり取りですね。これが出来なければデートはありえません。ちゃんと聞き出しましたか?」
「ボクはね。そんなことが出来るなんて聞いてなかったよ。それにボクがあの店にもう一度行くかどうかもわかりゃしない。ヒデちゃんは精々励むといいよ。ボクは今のところは傍観者でいいよ。」
浩市はまだ気づいていなかった。やがて訪れる運命の渦に。
そして、その数日後。再びヒデちゃんやベンさんたちと食事をする機会が訪れて、その日を境に浩市の脳裏に、その姿が離れなくなることを。
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