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乗り物は空や海を縦横無人に走り、
人間は空間や時空を渡る力も
手に入れていた。
国境は物理的な隔たりをなくし、
様々な過程を経て、
現在は『宇宙国家』が建設され、
世界はその国家に規則をもって統一されて
いた。
ルーシアは戦闘用のマスクを外し、
頭を振った。
綺麗なライトイエローの髪がキラキラと光り、
見るものを引き付ける。
国のために戦い、国のために在ることだけが求められる、この場所は日常から隔離された場所だった。
彼女はこの国では所謂、戦いに使われる道具。
姿形は人間と変わらないが、
持つ力は人間を遥かに凌ぐ。
いわく、人間ではないという意味でロボットと呼ばれる。
しかし彼らの地位は人間に遥か及ばない。
その時、耳慣れた声がルーシアの耳に取り付けられた機械から静かに響いた。
「終わりだ。戻れ。10秒以内だ。」
事務的で、感情のない、冷たい声だった。
それはいつもの戦闘後の呼び出し。
逆らえばどうなるかはこの国なら誰でも知っている。
それ故、
いや、そうじゃなくても
ルーシアに逆らうつもりはなかった。
なぜなら、その時間はこの国を治める最高司令官に会える限られた時間だから。
ルーシアは瞬間その場から消えた。
それはあまりに鮮やかで、
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