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 菓子を買い、駐車場に停めてあるレンタカーに乗り、札幌まで帰る。運転はツカサだ。 「ふふ。助手席に彼女を乗せるって、あこがれだったんだ」  おれが彼女なのか。  発車前の突然の台詞に驚くも、同性の場合、どちらが彼氏彼女になるのか判らないので、黙っておく。むしろどうでも良い。  札幌に這入り、大きなとおりで信号待ちしているときだった。建物の間から、テレビ塔がちらりと見える。 「一実。今日は二人ともバイトがないだろ? 僕、ちょっと一実と行きたいトコロがあるんだけど、良いかい?」 「行きたいトコロ?」 「うん」 「どこ?」  信号が青になり、車が静かに進む。行先を告げず、それきり黙ってしまったツカサに、おれはなにかが始まったことを、無意識に感じ取っていた。  車は大学の方向へは行かず、脇道に逸れて行く。 〈了〉
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