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私の名前は春陽花、高一の16歳だ。
今私は、美術部員として学園祭の展覧会に出品する油絵作品をかかえつつ、帰りの電車を待っているところだ。
ここ一週間ほど、学校での制作活動では完成が難しいとふんで、下校時刻を過ぎた後は自宅に持ちかえっての制作にいそしんでいる。
連日の制作活動の疲れはピークに達しており、私はうつらうつらとしながら電車を待っていた。
(文化祭までに間に合うかしら?家での制作活動にかかってるわね…最後は徹夜か?…ああ、眠…)
その時、眠気で足下がふらついた私は、キャンバスをおさめたバッグを強い風に煽られたのもあり、プラットホームから落ちんばかりの体勢になってしまった。
その時、運悪く電車が駅に入ってきた。
(しまっ…)
私の頭に走馬灯のようなものがよぎる。
その時、私の腕を誰かがつかみとり、私は何とか難を逃れることができた。
「あ、ありがとうございます」
私がそう言って、助けてくれた人物の方をふりかえると、どうやら同じ年齢くらいの少年だった。
私はまた改めて礼を言い、気恥ずかしさにそそくさとはねられかけた電車にのりこんだ。
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