クローバー

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※暗いので、ご注意を。 「いつも、ありがとう」  家の近くまで来て、私は街灯の下で足を止めた。  隣を歩いていた彼も自然と立ち止まる。 「帰り道に何かあったら困るし、このくらい当たり前だよ」 「そうでもないと思う。毎回ちゃんと送ってくれて嬉しいし」 「……俺、君のことは大事にしたいからさ。そうやって、ちゃんとお礼を言ってくれるし」  言葉を選びながら、彼は ぎこちなさを誤魔化すように軽く髪をかき上げた。  私もそれを見てから、自然と自分の髪の乱れを直した。 「それにしても、今日は楽しかったよねっ」  空気を変えようと、声を弾ませて、彼の瞳を覗き込んだ。  既に日は落ちて、こんな小道に入ってしまえば人通りも全くない。街灯が転々と頼りなく立っているだけだ。  彼は少し照れたように顔を背けて、それでも できる限りの優しい声を出した。 「ああ、そうだね。うん、君が楽しんでくれたなら良かった」  染めた髪はワックスでセットされて、耳にはピアスまでついている。それでも、彼は本気だというアピールなのか、馴れ馴れしく触れてこようとはしなかった。  付き合ってもう半年になるのに、彼は未だに慣れていない。     
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