プリン戦争

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プリン戦争

 家に帰ってきて直ぐ、私は手洗いも急いですませてキッチンへ飛び込むように入った。  昨日、父親がプリンを買ってきてくれたのだ。弟は貰った途端に ぺろりと平らげてしまっていたが、夜にスイーツを食べることは女の子として厳しいものがある。  さすがに一日でどうこうなるわけではないが、甘い誘惑に一度でも負けると後々まで響くのだ。  チョコレートとかも ついもう一欠片、なんてしようものなら、次の日にはニキビができてしまうくらい繊細だ。そういう所だけは、私も女の子らしい。  そのため、昨日 冷やしておいたプリンを楽しみに少し早足で帰宅したのだ。  けれど、冷蔵庫を開けてみて固まった。ない。プリンが、何処にも。  ひっくり返す勢いで、なんなら賞味期限の切れた紅しょうがを捨てたりしながら探したが影も形もない。  最後に見たゴミ箱に空があった。まずここを見るべきだったのだと、間抜けな私は後悔した。  プリンが家出なんてするわけないのだから、犯人はこの家に居るに決まっていた。というより、考えなくても分かっていた。     
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