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「アンタは火星旅行に行くはずなのに、地球便の発着ゲートに居た。まるで逃げるかのように」
「気が動転して、そう言ってしまったのだろう」
「じゃあ、このロボットは?」
「ロボット? ……アーティスカル・インテリジェンスのことかね? コイツはどうもポンコツのようだけど」
『お前! ポンコツとはなんだ!? 僕は1ヨタバイトの超高性能ロボットだぞ!』
「落ち着け、ドピュ二郎。……アーティフィシャル・インテリジェンス。AIの意だ」
「アーティフィシャル…………?」
「あのね、アーティスカル・インテリジェンスとはギャンブリンライフの作者の造語なんだよ」
「どういう…………はっ!」
「理解したようだな。専用機ラウンジでしか、やってない映画なんだよ。それを知ってるってことはつまり…………」
「待て! 地球で観たんだ」
「本当か?」
「ああ、そうだ」
「どこで観た?」
「……古い映画館で」
「新しい映画なのにな」
「えっ? 古い映画じゃないのか?」
「ドピュ二郎、地球でギャンブリンライフを観れる場所は?」
『校正、リメイクしたヤツはそこら中で観れるよ。但し校正前のは専用機ラウンジのみ』
「…………私のIDだ。コットン・ミサキの隙を突くまでB級SFを観ていたのが仇となったな」
「ドピュ二郎、この男のIDを読み込んで」
『りょ~か~い』
ピッ。
「動機は? 怨恨か?」
「あの女が悪いんだ! ……私は、コットン・ミサキのファンだった。コンサートやライヴにも何度も行った! それなのに握手会で私の顔を覚えてないと! 横暴だ! だから、地球から追いかけてきた」
「ストーカーか」
――アイドルを刺し殺した男は地球で裁判を受けるために、スクエアの留置所にブチ込まれた。
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