第1章

10/14
前へ
/14ページ
次へ
「アンタは火星旅行に行くはずなのに、地球便の発着ゲートに居た。まるで逃げるかのように」 「気が動転して、そう言ってしまったのだろう」 「じゃあ、このロボットは?」 「ロボット? ……アーティスカル・インテリジェンスのことかね? コイツはどうもポンコツのようだけど」 『お前! ポンコツとはなんだ!? 僕は1ヨタバイトの超高性能ロボットだぞ!』 「落ち着け、ドピュ二郎。……アーティフィシャル・インテリジェンス。AIの意だ」 「アーティフィシャル…………?」 「あのね、アーティスカル・インテリジェンスとはギャンブリンライフの作者の造語なんだよ」 「どういう…………はっ!」 「理解したようだな。専用機ラウンジでしか、やってない映画なんだよ。それを知ってるってことはつまり…………」 「待て! 地球で観たんだ」 「本当か?」 「ああ、そうだ」 「どこで観た?」 「……古い映画館で」 「新しい映画なのにな」 「えっ? 古い映画じゃないのか?」 「ドピュ二郎、地球でギャンブリンライフを観れる場所は?」 『校正、リメイクしたヤツはそこら中で観れるよ。但し校正前のは専用機ラウンジのみ』 「…………私のIDだ。コットン・ミサキの隙を突くまでB級SFを観ていたのが仇となったな」 「ドピュ二郎、この男のIDを読み込んで」 『りょ~か~い』  ピッ。 「動機は? 怨恨か?」 「あの女が悪いんだ! ……私は、コットン・ミサキのファンだった。コンサートやライヴにも何度も行った! それなのに握手会で私の顔を覚えてないと! 横暴だ! だから、地球から追いかけてきた」 「ストーカーか」 ――アイドルを刺し殺した男は地球で裁判を受けるために、スクエアの留置所にブチ込まれた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加