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「叔父さん、ちょっといい?」
エイコが係長室に入ってきた。
「どうした? 火星便の遅延で泊まる所がないのか?」
「それもだけど、私のカメラに変なものが写ってるの」
「見せてくれ」
ユウイチはエイコのカメラを見る。宇宙空間を写した画像だ。
「叔父さん、どう思う?」
「拡大して見ると…………宇宙空間に人が居る。宇宙服を着てない。マネキンじゃなさそうだな」
ドピュ二郎も係長室に入ってきた。
『ユウイチ、大変だよ。また事件』
「宇宙空間に人が放出されたか?」
『何で知ってるの!? ……犯人はユウイチ、あなたです!』
「叔父さんが犯人な訳ないでしょ、ポンコツ」
『ポンコツとはなんだ!? 僕は1ヨタバイトの超高性能ロボットだぞ!』
「ドピュ二郎、冗談はそのくらいにしてくれ」
『僕達がコットン・ミサキの事件を追ってる間に起きたみたいだね』
「また俺にやらせるのか? 勘弁してくれよ~」
『ユウイチって宇宙空間の作業ライセンスは持ってたっけ?』
「持ってないよ」
「…………私、持ってる」
「本当か? エイコ」
「仮ライセンスよ。実地試験はまだだけど、筆記と水中訓練なら」
『最近の生徒教育は発達してるね』
「しかし、姪に危険な真似はさせられない」
――「話は聞かせてもらいましたよ。僕にも手伝わせて下さい」
「田中、お前はライセンスを持っているのか?」
「こう見えて、船外活動のライセンスあるんですよ」
田中は堂々とライセンスカードを見せる。
「田中、当面はデブリの心配はないと言ってたな。ブースター付き宇宙服で遺体を回収してきてくれ」
「分かりました。専用機ラウンジのゲートから行きます」
「頼む」
――田中は規制線をくぐり抜け、専用機ラウンジに入る。AIポリスが10機くらい居た。アイドル殺人事件の裏付け作業をしている。
田中はゲートを通り、関係者以外立ち入り禁止の部屋に入る。ブースター付き宇宙服があった。パイロットスーツの様にスリムな宇宙服で腰の辺りにブースターが付いてる。
田中のウェアラブル端末が鳴る。ユウイチから通話だ。
「係長、何ですか?」
「田中、そっちはどうだ?」
「今、宇宙服を着るところですよ」
「ナビゲーションの確認は怠るなよ」
「はい。任せて下さい」
「必ず生きて還ってこいよ」
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