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背広の男は観念したかのようにユウイチのボディーチェックを受ける。
財布が3つ出てきた。
「これは何? 足を洗ったんじゃなかったのか?」
「返すから」
「ドピュ二郎、この人を捕縛して」
「ちょっ、待て」
背広の男が逃げようとした時、ドピュ二郎の電磁ロープが手足に絡まり、背広の男は捕縛された。
「ドピュ二郎、AIポリスを呼んでくれ。この男を留置場にブチ込んで」
『りょ~か~い』
「勘弁してくれ~!」
ドピュ二郎はスリの男に馬乗りになる。
『逃がさないぞ、泥棒!』
ピピピピ。ドピュ二郎は約1キロメートル離れた、AIポリスの交番に連絡を入れる。
エイコがユウイチの元へ行く。
「叔父さん、事件は解決したの?」
「全然」
「そう……ラウンジでは古い映画をやってるのね」
ユウイチはスクリーンを見る。
「おっ! ギャンブリンライフか。懐かしいな」
「知ってるんだ」
ラウンジにはミニシアターが併設されている。宇宙船の発着は遅れて当然という感じだ。待ち時間は酒や娯楽で潰すもの。
「勿論。フォールンエンジェルアローズ・ルシファーの話は最早伝説だよ」
「何それ、知らない」
「若い子には分からんか」
『僕のデータにも入ってないB級SFだね』
「こら! 作者に失礼だろ」
『フフフフ』
「ねえ、叔父さん。高級ラウンジって誰でも入れるの?」
「特に決まりはないよ。昔は警備員が見張りをしてたけどな。人件費削減だ」
『ユウイチ、また高速演算処理したところ、シャッターから出て行ったのは多分、男だよ』
「おそらく、ソイツが犯人だ。マスターもスリの男も返り血を浴びてない。心臓を一突きして得物を抜いてる。おそらく、怨恨だろうな。追いかけるぞ」
ドピュ二郎は防犯カメラの映像を洗いながら真犯人を追いかける。ユウイチとエイコはドピュ二郎の後を歩く。入れ違いで5機のAIポリスがラウンジへ入って行った。
ドピュ二郎の歩行速度が段々速くなってくる。
『2人とも、急ぐよ』
「犯人は地球に逃げるつもりか?」
『多分ね』
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