0人が本棚に入れています
本棚に追加
『犯人はサングラスとマスクをしてる。服装は黒いコート。身長170センチメートルくらい』
「ドピュ二郎、地球への便は何時に出立だ?」
『25分後だよ…………待った! 追跡システムで視てたけど、真犯人の痕跡が途絶えた』
ドピュ二郎の処理速度が遅いのと妨害電波を受け、真犯人が人混みに紛れ、見失ってしまったようだ。
「まずいな」
「叔父さん、どうするの?」
「計画的な犯行の線も出てきたな。ドピュ二郎、管理官に通達してくれ。スクエアを一時封鎖するように」
『分かった』
「叔父さん、火星旅行はどうなるの?」
「悪いが1~2日は出立できないよ」
「そんな……でも人が死んでるし。仕方ないよね」
――ブリッジで管理官の市原はドピュ二郎からの連絡を受けて、スクエアを封鎖するか迷っていた。
「市原管理官、どう致しますか?」
「…………仕方ない、封鎖をしよう。但し5分だけだ。AIポリス、ドピュ二郎とガンニョム課の係長に通達しろ」
「わっ、分かりました」
管理員は違和感を感じながらも、AIポリスとドピュ二郎とユウイチのウェアラブル端末に一括メールを送る。
――AIポリス、数十機は動き出す。地球便の発着ゲートで犯人の確率が高い男を数人、任意同行してもらい、派出所の取調室に押し込む。
別班がドピュ二郎の追跡を振り切った辺りの捜索をして、得物のレーザーナイフ、黒いコート、黒いニット帽、レザーグローブ等をトイレで発見した。どれも血液が付着している。
――その連絡を受けた、ドピュ二郎達は派出所へ向かう。
ユウイチには秘策がある。ギャンブリンライフという作品には欠点があり、そこを問い詰めるつもりだ。
ドピュ二郎、ユウイチ、エイコは別室で取調室をモニターで見る。4人の男が並ばされていた。
AIポリスの1機がユウイチの元へ来た。
『係長、取り調べをお願いします』
「やっぱり、俺がやるのね。市原管理官も人使いが荒いな」
『では、取調室へ』
ユウイチは取調室に入ると、男達は一斉に言った。
「俺は犯人じゃない!」茶髪のあんちゃん。
「僕も犯人じゃありません!」眼鏡を掛けた青年。
「私はただの旅行者です! 火星旅行をキャンセルされました!」40代のオッサン。
「おいどんはスクエアの作業員でごわす!」西郷隆盛みたいな男。
「まあ、落ち着け」
最初のコメントを投稿しよう!