第1章

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『犯人はサングラスとマスクをしてる。服装は黒いコート。身長170センチメートルくらい』 「ドピュ二郎、地球への便は何時に出立だ?」 『25分後だよ…………待った! 追跡システムで視てたけど、真犯人の痕跡が途絶えた』  ドピュ二郎の処理速度が遅いのと妨害電波を受け、真犯人が人混みに紛れ、見失ってしまったようだ。 「まずいな」 「叔父さん、どうするの?」 「計画的な犯行の線も出てきたな。ドピュ二郎、管理官に通達してくれ。スクエアを一時封鎖するように」 『分かった』 「叔父さん、火星旅行はどうなるの?」 「悪いが1~2日は出立できないよ」 「そんな……でも人が死んでるし。仕方ないよね」 ――ブリッジで管理官の市原はドピュ二郎からの連絡を受けて、スクエアを封鎖するか迷っていた。 「市原管理官、どう致しますか?」 「…………仕方ない、封鎖をしよう。但し5分だけだ。AIポリス、ドピュ二郎とガンニョム課の係長に通達しろ」 「わっ、分かりました」  管理員は違和感を感じながらも、AIポリスとドピュ二郎とユウイチのウェアラブル端末に一括メールを送る。 ――AIポリス、数十機は動き出す。地球便の発着ゲートで犯人の確率が高い男を数人、任意同行してもらい、派出所の取調室に押し込む。  別班がドピュ二郎の追跡を振り切った辺りの捜索をして、得物のレーザーナイフ、黒いコート、黒いニット帽、レザーグローブ等をトイレで発見した。どれも血液が付着している。 ――その連絡を受けた、ドピュ二郎達は派出所へ向かう。  ユウイチには秘策がある。ギャンブリンライフという作品には欠点があり、そこを問い詰めるつもりだ。  ドピュ二郎、ユウイチ、エイコは別室で取調室をモニターで見る。4人の男が並ばされていた。  AIポリスの1機がユウイチの元へ来た。 『係長、取り調べをお願いします』 「やっぱり、俺がやるのね。市原管理官も人使いが荒いな」 『では、取調室へ』  ユウイチは取調室に入ると、男達は一斉に言った。 「俺は犯人じゃない!」茶髪のあんちゃん。 「僕も犯人じゃありません!」眼鏡を掛けた青年。 「私はただの旅行者です! 火星旅行をキャンセルされました!」40代のオッサン。 「おいどんはスクエアの作業員でごわす!」西郷隆盛みたいな男。 「まあ、落ち着け」
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