第1章

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 AIポリスが5機、取調室の中に入り、記録と監視をする。  ユウイチはとりあえず、被疑者がアイドルオタクか聞く。一応、4人の答えはノーだった。  次にユウイチは“フォールンエンジェルアローズ・ルシファー”の話をする。4人は知らないようだ。ユウイチは心理学を使い、顔色や仕草を視るが怪しいところはあんまりない。  しかし、変な奴が1人居る。 「これが、取り調べってヤツか~。机と椅子は固定されてるんだな」  茶髪のあんちゃんが喋り出す。 「ドピュ二郎、聞こえるか?」 『なんだい、ユウイチ』 「専用機ラウンジで流れてた、ギャンブリンライフをダウンロードしといて」 『任せて』 「俺の話を聞けよ」  ユウイチは、そのあんちゃんを指差す。 「この人は別室に」 「待て待て、俺じゃないってば!」 「さようなら~」  茶髪のあんちゃんはAIポリスに脇を抱えられて、取調室から連れ出される。 「おいどん達の容疑は晴れたでごわすな?」 「では私達は帰らしてもらいましょうか」 「誰が晴れたって?」 「僕らは不当逮捕されるのか!? 任意同行だって言うから協力してやってるのに!」 「眼鏡の人。アンタも別室に」 「待てよ! 僕じゃないって!」  眼鏡の男もAIポリスに脇を抱えられて、連れ出される。 「待つでごわす。おいどん達はどうなるでごわすか?」 「怪しいんだよな~。話題を変えよう。ギャンブリンライフは好きか?」 「おいどんは知らないでごわす」 「私はB級SF映画に興味はないが“アーティスカル・インテリジェンス”は大好きですよ」 「“アーティスカル”ねえ…………。ドピュ二郎、スクエアで専用機ラウンジ以外にギャンブリンライフを流したシアターは?」 『一般発着ゲートのロビーで』 「それがなんだって言うんだ!?」 『35年前だけど』 「決まりだ。西郷隆盛は別室に」 「おいどんの容疑は晴れたでごわすな? 仕事に戻らせてもらうでごわす」 「ああ」  西郷隆盛は1人で取調室を出る。入れ違いで、ドピュ二郎が入ってきた。 「ちょっと待ってくれ。犯人は私だとでもいうのか?」
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