第一話 脚本

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◯大学病院・外観(夕)   夕方の大学病院。 ◯同・廊下(夕)   夕日が差し込む廊下、病人や見舞客、   看護師らが歩いている。 女の子の声「尊敬する人は?」 麻衣の声「強いて言うなら自分です」 ◯同・病室(夕)   凪沙(なぎさ)(18・女の子)が   『美容業界のための面接対策』という   本を持っている。 凪沙「……なぜウチに応募しましたか?」   ハサミやクシなどの美容道具を机で整 理する麻衣。 麻衣「求人を出してたからです」   バタンと本を閉じ、ベッドに本を投げ   てしまう凪沙。 凪沙「不合格です」 麻衣「ぐわー!」   ベッドに仰向けに飛び込む麻衣。 凪沙「ちょっと!」   天井に手を透かして何かを見上げる麻   衣。 凪沙「やる気ある?」   打って変わって真剣な顔になる麻衣。 麻衣「誰にも負けません」   麻衣の真剣な顔を見る凪沙。 凪沙「……」   麻衣の見上げる天井には、拡大された   写真が何枚も貼り付けられている。そ   こには子供の頃の麻衣と凪沙が写って   いる。ハイキングをしている写真や運   動会の写真など。   仰向けのまま、写真をじっと見上げる   麻衣、ちらりと凪沙の方に目を向け   る。   窓の外を見ている凪沙、視線を落とす   と車椅子に乗っていると分かる。 麻衣「あれ」   写真を指差す麻衣。そこには幼稚園く   らいの凪沙が運動場で泣いている写   真。 麻衣「ほら、テレビとかで衝撃映像100連  発みたいなのあるじゃん。あんな感じだっ  た」 凪沙「ふーん」   ふてくされたように手元のタブレット   PCを操作する凪沙。  麻衣「決まった?」   タブレットのスライドショーで様々な   髪型のイラストをスライドさせる凪   沙。 凪沙「髪よく分かんないし、ルーレットの方       が面白くない? 練習にもなるだろうし」   高速で指を動かし、スライドショーを   回す凪沙。街中でイヌが交尾している   写真で止まる。 凪沙「……」   いつの間にか後ろから覗き込み、ハサ   ミを用意する麻衣。 凪沙「ちょっと待って」
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