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「ただ一つの例外なく、全ての捜し物が見つかる場所」
ある日、そんな夢のような場所へ行けるホールが世界各地に現れた。
人類はこれまで何度も調査チームを派遣し、ホールの向こうから様々なテクノロジーや医療技術を持ち帰ってきたが、ホールの向こうから何かを持ち帰るにはあるルールがあった。
それは、持ち帰るものと同価値以上の何かを置いて帰ること。
人類は数百年分の技術革新をわずかな期間で達成し、数々の疫病を克服してきたが、それと引き換えに歴史的価値の高い芸術品や骨董品、希少金属や資源、時には生きた人間をも対価として発展を遂げてきた。
そうした時代の中、主人公である麻衣は美容専門学校に通いながら美容師の資格を目指していたが、麻衣には病気に苦しむ1人の妹・凪沙がいた。
唯一の家族である凪沙のことが心配でたまらない麻衣だが、ある日凪沙がホールの調査チームに突然抜擢される。
なぜ凪沙が選ばれたのか疑問に思う麻衣だったが、実は人類を苦しめていたホールの等価交換の制約が、凪沙には一切適用されなかったのだ。
ホールからやって来る向こうの世界の住人による断続的なテロに苦しめられていた人類だったが、ついに宣戦布告とも取れる攻撃が始まっていた。
圧倒的な科学力・軍事力を誇る相手に為す術もない人類だったが、無制限にホールの向こうから物資を調達出来る凪沙はまさに人類の希望となる存在だった。
ホールの向こうの住人に対抗すべく、ホールを行き来する麻衣や凪沙だが、そうした中である事実に気付く。
ホールは何かを持ち帰る場所であると同時に、何かを捨ててくる場所でもあった。
実は人類が滅亡してしまうような規模の災害が迫っており、2つの世界はその災害を押し付け合うように争っていたのだ。
それぞれの世界が必須に生き延びようとしている中、キーマンとなってしまった凪沙や麻衣だが、凪沙は自分が犠牲になって自分達の世界を守る決断をする。
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