第一話 脚本

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◯同・食堂   大勢の学生がトレーを持って行き交っ   ている。   食堂に置かれたテレビの画面、記者会見を行う外国人ら。 アナウンサーの声「ロシアの調査チームが今日、ゲート探索に出発しました」   厨房では数人の調理係が忙しそうに盛   り付けをしている。 アナウンサーの声「史上三番目の規模となる今回の調査チームですが、調査目的は明らかにされておらず、前回持ち帰りに失敗した超小型核爆弾を狙った渡航なのでは無いかと、周辺国は警戒を強めています」   テレビを気にせず、トレーを持ったまま行き来する学生ら。 明日香の声「人類が昆虫食に踏み切れないの  は」   テーブルに置かれたきつねうどん。   茶筒のようなものを振りかける明日香   の手、うどんに乾燥したイナゴのよう   な昆虫が振りかけられる。 明日香の声「ひとえに安定した供給が確保出来ないからなのです」   テーブル席に座る麻衣・明日香・ミナ   ミ。   昆虫の入ったうどんを嫌悪感丸出しに   覗く麻衣。 明日香「完全養殖か、安全な捕獲場さえ確保出来れば、昆虫を食べない理由なんて」   麻衣のトレーにはカレーと豪華なプリ   ン。   麻衣のカレーに昆虫をかけようとする   明日香。 麻衣「その気持ち悪いやつかけたら、首蹴るからな」 明日香「……首」   黙々と食べる3人。麻衣は食べなが   ら、手元に何か描いてる。   麻衣の手元を覗き込むミナミ。 ミナミ「……それ」 麻衣「なに?」   ミナミはマイペースにおにぎりを頬張   る口を止めない。 麻衣「……」   ミナミ、ゆっくりと飲み込んで。 ミナミ「それ……課題?」 麻衣「違う、妹の」   少し、気を使ったように黙ってしまう   ミナミ・明日香。   麻衣の手元にはペンタブレットでヘア   スタイルのパターンが描かれている。   学生達が慌ただしく空のトレーを持っ   て席を立っている。 麻衣「やべえ」
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