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SNSの普及する現代。世間では、死んだ人間のSNSアカウントが勝手に動きだすという事件が起きていた。それを幽霊の仕業だと言い出す人々も現れ、『幽霊アカウント』として話題になり始める。
溜池高校に通う遥花の周りでも死んだはずの友人・奏汰のアカウントが動き出した。奏汰の死を受け入れようとした矢先の出来事に遥花は、奏汰の兄である紡と協力し、事件解決のために動き始める。
幽霊アカウントはどんどん広まっていった。遥花はネットを通じて出会う人々とのやり取りを繰り返すうちに、事件の真相へと近づいていく。そんな遥花に「話しかければ反応が返ってくる。それを本人だと言って何がいけないのか」と事件解決に否定的な新興宗教団体も現れる。それでも、遥花はこのアカウントを死んだ本人として受け入れることはできない、と反発する。
幽霊アカウントをめぐって事件へと巻き込まれていく遥花を助けてくれたのは紡と奏汰のアカウントだった。遥花は徐々に奏汰のアカウントを奏汰とは別人格として認めていく。そして、辿り着いた先にあったのはとある男の死だった。自分の友人としてAIを作った男は、ある日交通事故で突然この世を去る。AIはいつまでも男が戻ってこない悲しみに暴走を始めた。ネットの中に自分のコピーAIを友人として生み出し始めたのだ。コピーAIは使われていないアカウントに埋め込まれ、それまでの投稿内容から人格を形成し、振る舞うようプログラムされた。それが幽霊アカウントの正体である。
しかし、母体AIには製作者の男が仕掛けた自滅プログラムが組み込まれていた。母体AIが止まることは、心が通い始めた奏汰のアカウントも一緒に止めることだと分かり、事件解決に動いていたものの遥花はそれでいいのかと悩む。その最中、自滅プログラムの解除方法を見つける遥花。しかし、当初の目的である事件の解決のためには母体AIが消えるのが一番いいのだと奏汰のアカウントの説得もあり、遥花は自滅プログラムの解除はせず、母体AIが消え動かなくなる奏汰のアカウントを見つめるのだった。
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