第1話

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  男子生徒Aの笑みが消える。 男子生徒A「は?」 千里「あ」   千里につられ、スマホを見る遥花。   先ほどのコメントに、かなたから返信。   『そっか。学校に行けてないんだし、しょうがないよね……』   男子生徒Bと女子生徒Eの笑みも消える。 男子生徒A「つまんね……」 男子生徒B「……だな」   チャイムが鳴り、教師がやってくる。   生徒たち静かに席へとつき始める。 千里「いいの?」 遥花「何で私が。関係ないでしょ」 千里「だって……」 教師「出欠取るぞー」   教師の声に千里、口を閉じる。   遥花、膝の上で握ったスマホの通知ランプに気付く。   机の陰で画面を確認する。   LIVIEのトーク画面、送り主は紡(つむぐ)。 遥花「!」 ○室崎家・外観(夕)   住宅地の中に建つ二階建ての一軒家。   窓から中の明かりが漏れている。   表札には『室崎』の文字。 ○同・玄関・外   遥花、玄関の横にあるインターホンへ指を伸ばす。   一瞬躊躇い、ボタンを押す。   ノイズが乗り、声が聞こえる。 紡『はい?』 遥花「和泉です、けど……」 紡『あぁ、はるちゃん。ちょっと待っててねー』   一拍置いて、玄関が開く。   家の中から顔を出すスーツ姿の紡。 紡「いらっしゃい」 ○同・玄関・内   家へと入ってくる遥花。 紡「ん、上がって上がって」   緩い笑顔で招き入れる紡を見つめる遥花。 紡「……どうしたの?」 遥花「紡さん、痩せました?」 紡「(嬉しそうに)え、マジで?」 遥花「女子か」 紡「(笑う)まぁまぁ」   紡、先に家の奥へと歩いていく。   雑多に並ぶ靴たち。   遥花、脱いだ靴を揃え、家の中へと入っていく。 ○同・リビング   リビングへと入ってくる遥花。 紡「俺も今帰ってきたところでさ」   紡、リビングの奥へと歩いていく。 遥花「へぇ……」   部屋を見回しながら紡の後ろを歩く遥花、表情が曇る。   紡、小さな仏壇の前に腰を下ろす。   仏壇には奏汰と両親の写真が並ぶ。   奏汰の写真を見つめる遥花。
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