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○回想・和泉家・リビング(夕)
テレビの前で固まる遥花。
テレビには『生存者不明』のテロップ。
山の中を走る高速道路。
カーブ地点のガードレールが破れ、その先の切り立った崖の下で救助活動をする
レスキュー隊員たちを上空から映している。
アナウンサー『高速道路を走っていたツアーバスがガードレールを突き破り転落。
今も救助活動が続いており……』
テレビから流れてくるアナウンサーの声。
立ち尽くす遥花。
○回想・葬式会場(昼)
花で埋め尽くされた祭壇に並ぶ奏汰と奏汰の両親の遺影。
その前に置かれた三つの棺。
花を手に、棺を見下ろす遥花。
棺の中では奏汰が眠っている。
遥花、視線を逸らす。
逸らした先に、祭壇の前で表情のない紡がしゃんと立っている。
遥花「……」
○戻って、室崎家・リビング(夕)
紡の隣に座り、手を合わせる遥花。
紡の様子を窺う遥花。
紡、その視線に気付き立ち上がる。
紡「そうそう、来てもらったのはさ」
遥花「奏汰のアカウントのこと、ですよね?」
紡「まぁ、そうだね」
遥花「疑ってます?」
紡「……」
遥花「私が……奏汰のアカウント動かしてるって」
紡「……そうだって言ったら?」
遥花「! こんなこと私がするわけ……!」
紡「(笑う)なーんてね。冗談冗談」
遥花「は?」
紡「あぁ、だからさっきまであんな表情固かったとか?」
紡、ニヤニヤしながら遥花を見る。
遥花「帰ります」
紡「あーごめんってば。あんまり真剣な顔で聞くからつい」
遥花「ついって……」
遥花「(M)こんなタイミングで連絡くるから気になって来てみたのに……」
紡「え、もしかして本気で怒ってる?」
遥花、むっとした表情のまま答える。
遥花「……疑ってないなら何で連絡したんですか?」
紡「久しぶりにはるちゃんに会いたかったし」
遥花「また冗談……」
紡「(笑う)睨まないでよー。今日は手伝ってほしくてさ」
遥花「手伝う……?」
スマホの通知音が響く。
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