第1章

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「やあ、近藤君」  白衣を着た研究員らしき男に言われた。 「えっ!? 近藤?」  俺はサッパリ解らない。 「やはり記憶を失ってるか。それでも復讐は出来たな?」 「復讐?」  何言ってんだ、この人。 「その声はもしかして肉弾子博士!?」 「やあ、高間君。よく判ったね」 「これはオーバードーズによる“テーブル”ですよね? 誰がテーブルを作ったんですか?」 「テーブルを作ったのは復讐者だよ」  俺はサッパリ状況が呑み込めない。近藤? テーブル? 復讐者? 高間以外の人達はおろおろしてる。 「近藤君、これを飲みなさい」  白衣の男から薬を1錠渡された。ワンダーiだ。 「高間、この男が肉弾子博士か? 60代の老人だと聞いていたが……」 「見た目は20代、ワンダーiの効果だよ。スゲーだろ?」 「ちょっと待て、さっきから訳の解らない事を言ってるけど、俺はキョウジだぞ。近藤って誰?」 「君の本当の名前は近藤武蔵。さあ、ワンダーiを飲みなさい」 「近藤武蔵!? 嘘だろ!? やっぱり、どこかで見たことある顔だと思ってたけど」  高間は慌ててるようだ。 「どういう事だ!?」  俺は理解出来ない。 「キョウジ、いや、近藤武蔵。お前は中学生の頃に俺達にいじめられてたんだよ。平川を中心にして」 「バカ! 高間、余計な事を言うな!」  平川も慌て出した。 「待てよ。人違いじゃないか? 同じ中学卒なら覚えてるだろ」 「ワッハッハ、近藤君、君に過去の記憶がないだろう? ワンダーiによる影響だ。ワンダーiを遣ってオーバードーズと復讐の実験をしたんだよ。いじめていた側はうろ覚えなのさ」 「そんな…………嘘だ!」 「近藤君、君の兄の名前は近藤宗男、妹の名前は近藤睦美」 「ほっ、本当に“コンドーム・サシ”なの?」  金田は更に訳の解らない事を言った。 「コンドーム・ネオ、サシ、ツミと親に酷い名前を付けられちゃったね。近藤君、いや、今はキョウジ君だね。ワンダーiを飲みなさい。そうすれば全てが解るよ」  俺は……どうすれば……?
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