第1章

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「私は絶対に飲まない。死んだ方がマシだ」 「政治家って妙に頑固なんだから。生き残ってから反対でも何でもすれば」 「平川、飲めよ。死んだら終わりだ」 「私は大丈夫だ! 他にも怪我人が居るかもしれない」  平川は頑なに薬を拒んだ。高間は常用してるようだが、大丈夫かな? 劇薬らしいし。  すると、「見える! 光だ!」と金田という男が叫んだ。目が見えるようになったか!? 「なあ、高間、ワンダーiって薬に即効性あるのか? お前はいつ飲んだ?」 「俺はいつも炙って吸ってるから効果が遅れて来るのかもね」 「なるほど」 「僕のメガネ知らない?」  金田は床を手探りしてる。ここの階もゴミは散乱してない、メガネらしき物はなかった。 「視力が弱いのか? メガネは後回しだ、先を急ごう」  俺と平川は階段を上がろうとする。 「ちょっと待った。なぜ上に行く? 1階から出た方が良くない?」 「下の階はダメだ。ここの階と同様に窓に鉄格子が付いてる。簡単には行かない」 「地下は水が張ってる」  俺は自分の履いているスニーカーを見せる。 「それで2人の靴が濡れてるのか。仕方ない、上に行くか」  俺と高間で金田の脇を持ち、階段を上がる。平川はフラフラと後を着いてくる。状況は決して良くない。犯人の狙いはなんだ? 奥の手みたいなワンダーiって薬を手に入れたからにはサイコ野郎共の思い通りにはいかないだろう。  俺達はなんとか5階に来た。おかしい……エレベーターが設置されてない。そこまで古い雑居ビルでもなさそうだ。 「この階に人は居なさそうだな」 「上りの階段がない。ここが最上階かな? 隣の部屋を見てみよう」  俺は扉を開けようとするが、ギスい。ここにも接着剤が付いてるのかな?  すると、「誰!? ……助けて! 子供が居るの!」女性の声だ。  子供まで巻き込むとはとんでもないサイコ野郎共だな。 「今、助けてやる!」
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