第1章

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 ガタン! 俺はギスい扉を開ける。20代後半の女性と幼稚園生くらいの男の子がガラスの奥に居た。 「…………陽子!? それに虎太郎!」  平川は血相を変えている。 「あなた! どうしてここに!?」 「平川、まさか奥さんと息子か?」 「ああ、そうだ! ……すぐに脱出しよう!」  平川がガラスに近付いた時、ピッピピーと鳴り、ガラスの上から水が勢いよく流れ始めた。  水が四角く溜まっていく!? これはただのガラスじゃない。よく見ると、デカイ水槽だ。平川の奥さんは両手首を縛られてるようだ。抜け出す隙間もない。ガラスを割るしかない。 「パパー!」 「今、助けてやるからな! 虎太郎! ……皆、鈍器みたいな物がないか探してくれ!」 ――俺達は5階をくまなく探す。そして、水槽の前に集まる。水かさは水槽の半分くらいまで溜まっていた。 「キョウジ、高間、何かあったか?」 「ダメだ、何もない。高間、体当たりで壊そう」  俺と高間は助走をとって思いっきりガラスに体当たりをする。ガン! 「ビクともしない! 強化ガラスか!?」  その間も流れ落ちる大量の水。時間はない。どうしたらいい? 平川は力なくガラスを叩く。 「平川、2階の死んだ奴が着けてた金のネックレスはどうだ? 取ってこようか?」 「時間がない! それに金は柔らかい」  俺達が途方に暮れていた時にピッピピーと鳴り、水が止まる。助かった? しかし、水かさは9割ほど溜まっている。閉じ込められてる2人は苦しそうだ。平川の奥さんは背伸びして、子供は水槽の僅かな出っ張りに掴まって呼吸をしてる。 「平川、ワンダーiを飲みなよ」 「私が飲んでも無意味だ」 「いや、効果あると思うよ。俺は五月蝿い編集者を異動させる事が出来たし」 「眉唾物だな、偶然じゃないの?」 「マジで効くよ、ハハハ。平川、飲めよ。水が止まってる間に」 「僕も目が治ったし、効果あるよ」 「犯人は俺達をモニタリングしてるはずだ。再び動き出す前に飲めよ」 「しかし…………」 「ほら、平川」  金田がワンダーiという薬をポケットから取り出す。 「こういう時の為にとっておいたんだろ? 平川、一か八か飲めよ」 「クソッ! 仕方ない!」  平川は金田の手からワンダーiを取り、口に入れる。
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