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状況が状況だ。飲むしかない。
「平川、いいか? ガラスが柔らかいと念じるんだ」
「……分かった」
平川は目を瞑り、強く念じてるようだ。
すると、ピキッ、ピキッ。……バリン! ズシャー! とガラスが割れて中の水が流れ出る。
「助かった~!」
「ママー! パパー!」
「陽子! 虎太郎! 良かった、無事で」
家族3人で抱き合ってる。平川はソッと2人に自分のジャケットを被せる。
しかし、子供は俺の顔を見ながら「悪魔だ」と言った。
「坊や、何を言ってんの?」
左目が潰れてるからかな? 子供はそれっきり口を閉ざした。
「よし、あとは脱出するだけだ」
「でも出口らしき所はなかった」
「待って! 状況が分からないけど、私達は閉じ込められたの?」
「ああ、そうだ」
「よくよく考えたらさ、ワンダーiを遣って外に出て、助けを呼んだ方が良かったよね」
「金田、そうはいかない」
平川は不思議な事を言う。
その時。ガタン! 俺は目を疑った。水槽の天井が開き、脚立が下ろされた。
「誰だ!? 犯人か!?」
「危害は加えない。上がってきなさい」男の声だ。
俺達は考える。誰から上がるべきか、脱出するには脚立を登るしかない。すると、平川が「私から行くよ」と志願した。
「大丈夫かよ、平川」
平川は脚立に足を掛けてしっかりしてるか確かめる。
ギシ……ギシ……。平川は一歩一歩、慎重に登っている。
平川はなんとか登りきったようだ。
「大丈夫だ! 順番に登ってこい!」
次に平川の子供が登り、奥さん、高間、金田の順で登り、最後に俺が登る。
6階に上がると、そこはなんかの研究室のようだった。何だここは!?
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