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一歩一歩と前へ踏み入れる度にカンカンと大袈裟な音を立てる鉄骨製の外階段を登りきると、そこに事務所兼控え室がある。
僕は朝日に照らされて銀色に鈍く光るドアノブをゆっくり回した。
「おはようご」
「チャァァアアアアアアアミィィィイイイ!!!」
古びた鉄製の無駄に重いドアを少し開けて、僕は停止した。
いつもこの人は大体僕よりも先に事務所に入っているので朝には強いらしいが、本日はニワトリも一目置く程の雄叫びで迎えてきた。
「店長、何があっ」
「どこだぁぁぁああああどこ行ったぁああああチャァァアアアアアアアミィィィイイイ!!!」
いや、迎えてはいない。僕の存在など気付いてすらいないらしい。
部屋の中央に置かれた長テーブルの下で四つん這いになったおっさんの尻が目に留まる。その辺りにあったパイプ椅子は蹴散らされ無惨にも倒れていた。
どうやらこの四つん這いで喚いているおっさんは探し物をしているらしい。
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