ザリガニ男

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「店長!」 僕はまだ起きて一時間ほどしか経っていないカラカラの喉から声を絞り出しておっさんを呼ぶ。 すると、おっさんは器用にテーブルに頭をぶつけずに、そのままの姿勢で僕の方に半回転した。なんとも小回りの効くおっさんだ。 「おお青木君、おはよう。」  青木、それは僕の名前である。 そしてこの人はただの小回り職人ではなく、仮にも僕が働いている店のオーナー兼店長だ。 「店長、まさかチャーミィ逃げたんですか?」 そう訪ねると、店長はすがる様な目で僕を見上げた。まるでチワワを思わせるうるうるとした瞳と、唇の下で綺麗な三角形を描いている顎髭の見事なミスマッチだ。 「探してくれ!エラが乾いているかもしれん。」 「はい!」
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