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まずいことになった。やつは夜行性だから恐らく夜中にあのアクリル板をずらして逃げ出したのだろう。
しかし、やつは水中でエラ呼吸をしている甲殻類だが、逃げ出してもすぐに弱ることはない。なぜかというと、外殻の中にあるエラは上手く守られていて、短時間なら水分を含んでいるから陸上でも歩けるのだ。
ただ、それでも時間が経つと徐々にエラは乾いてきてしまう。その先にある末路は…想像したくない。それよりも、あの大人の腰まである高さのテーブルから落ちて殻に傷ができていたら、それか内臓を損傷していたり、最悪体液が体の外へ漏れてしまっていたらもう手遅れになる。
(チャーミィ、どうか無事でいてくれ。)
僕はすがる思いを胸に、人がようやくすれ違える程の狭い更衣室を進んで、奥に置かれた縦長のロッカーの前に来た
。
すると、壁に横一列で並んでいるスチール製のロッカーのうち一つが、ほんの僅か人のこぶしひとつ分開いている。
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