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朝起きたら別の自分に「変身」していた。なんて作り話みたいだけれど、私はまだそんな奇跡が起こらないかと夢みている。
そして毎日、朝目が冷めて学校に行くたびに、変わらない自分の存在に軽蔑するのだった。
分厚い前髪と眼鏡で目もとを隠し、立てた本で口から下を隠す。完全防御姿勢で私はこっそりと教室を見渡した。退屈な授業から解放された生徒達は、短い休み時間を友人とのコミュニケーションという実に有意義な使い方で過ごしている。
あの中に混ざりたいと願いつつも、話しかけるどころか、防御姿勢を崩す勇気さえない私は臆病者だ。
本ばっかり読んでる根暗で空気みたいにどうでもいい存在。それがクラスメイトの私に対する評価だと思う。実際は本なんてポーズだけで全く読んでないし、出来ることなら明るくはきはきしゃべって楽しく過ごしたい。
でもできない。それが現実だ。
「音無さん、音無結花さん」
突然間近で話しかけられて、びくりと体を震わせる。おそるおそる観察すると、一人の少年が隣に立っていた。顔を見てすばやく頭の中で検索する。
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