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気がつくと見慣れぬ天井を見上げていた。体が痛い。ぼんやりと目をこすりながら身を起こすと、己が床の上で寝ていたことを知る。何故こんな所で寝転がっているのか、そもそもここはどこなのか、はっきりしない頭を徐々に回復させる時間の中にようやくマネギリューは我に返った。
「っ、アルト、アルトは」
「寝台に寝かせている」
後ろから声をかけられて飛び上がりそうになりながら振り返ると、サニーサイドが憮然とした表情で椅子に座りながらこちらを見つめていた。その顔には疲労が滲んでいる。
「サニー、ここは? あれから? アルトは?」
「竜守様はそこに寝かせてある。だいたい聞きたいのはこっちの方だ。何がどうなっているんだ」
寄ってきたサニーサイドに手を引かれて立ち上がり、なにはなくともアルトの様子をみたくてベッドに駆け寄ると、その寝姿は息をしているのかと不安にさせられる程に静かだった。
「大丈夫、なのか」
「傷の手当てはした。医者の見立てだと命に関わる傷ではないらしい。ただ、驚くほど疲労困憊していると。……マネギリュー、一体これはどういうことなんだ?」
「ああ、話す、けど、お前の方はどうなったんだ? ここは?」
「賊は捕らえ城の牢に放り込んでやった。ここは俺の別宅だ」
朴念仁のくせに別宅を持っていたとは驚きだが、今はその驚きよりも大きな驚きについて突っ込まずにはいられない。
「アリスタを捕らえたのか? やっぱお前スゲエな」
「竜の気で弱ったところに付け込んだんだ、俺達の成果ではない。マネギリュー、竜守が変わった。どういうことだ」
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