彼女の話をしよう

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彼女の話をしよう

あの声、あの表情。 いつまでも褪せない、彼女の最期の一瞬。僕が終わらせた彼女は僕の記憶にいつまでも同じ姿で座っている。 人は二度死ぬらしい。肉体が死んだときと、誰からも忘れさられたとき。 彼女は死んだ。でも彼女は死なない。僕の一生の間は死なない。僕の一生は僕の永遠と同じだから、彼女は永遠に死なないとも言える。これは僕の幸せだ。 彼女と僕がいつでも一緒だなんて。彼女に失礼だと思う。でも、彼女を一番覚えていられるのは僕だから、仕方ないことかもしれない。彼女を永遠に残すためには。 本当は、彼女は永遠を望まないのかもしれない。でも、僕は望む。彼女は死んでしまったのだから。 僕は生き続ける。彼女を残すために。僕の自己満足だとしても。
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