花を待つ人

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花を待つ人

オルメカは手に持っていた帽子をかぶると、コートを翻して次の目的地へと歩き始める。 そんな彼を道行く人達は振り返って見た。 それもそのはず、彼の美貌は完璧と言ってもいいほど整っている。高くて筋の通った鼻、形のよい唇、陶器のように白く透き通った肌、すらりと伸びた手足。挙げ出したらきりがないが、なかでも一際目を引くのはその美しい藍色の瞳だ。 そんな彼の魅力を彼自身もよくわかっていた。 「お嬢さん、道をお尋ねしたいのですが。」 彼は彼を見ていた少女たちの中の一人に話しかけた。
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