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上から聞こえてくる話し声は、最初はそよ風よりも静か。そして日が経つにつれて、少しずつ大きくなる。
「明日は風が強いんだって」
「雨が降るかもしれないんだって」
「冷えそうだから、もうちょっと待とうか」
「そうしよう」
「そうしよう」
はっきりと聞き取れるようになると、こちらにも話しかけてきたりする。暖かい日は特におしゃべりだ。
「そういうわけだから、もうちょっと一緒にいられるよ、ユンさん」
唐突に話しかけられる、ということはわかっているものの、いつも慣れない。とりあえず「お、おお、そうか」と返すと、「うふふ」という笑い声や、「そうか、そうか」と真似する声が響く。
もしかすると聞き取れないくらい小声の時も、ずっと話しかけられていたのかもしれない。私が気がつかなかっただけで。
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