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「今日はあたたかいね」
「風が吹くと気持ちが良いよ」
「ああ、そろそろだね」
「次の満月だよ、ユンさん」
またも唐突に話しかけられて、「へぇ?」と間抜けな声が出る。
「へぇ」
「へー!」
「へええ」
「へあ!」
彼らは一斉に私の声を真似る。時々笑い声も聞こえてくる。軽く咳払いをして、私は言った。
「真似はいいから。満月がどうしたんだ?」
そうだった、そうだ、満月の日だ、と、いくつもの囁きが聞こえてそれから
「今年のお別れの日だよ」
彼らは、声を揃えて言った。
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