4/7
前へ
/7ページ
次へ
「今日はあたたかいね」 「風が吹くと気持ちが良いよ」 「ああ、そろそろだね」 「次の満月だよ、ユンさん」  またも唐突に話しかけられて、「へぇ?」と間抜けな声が出る。 「へぇ」 「へー!」 「へええ」 「へあ!」  彼らは一斉に私の声を真似る。時々笑い声も聞こえてくる。軽く咳払いをして、私は言った。 「真似はいいから。満月がどうしたんだ?」  そうだった、そうだ、満月の日だ、と、いくつもの囁きが聞こえてそれから 「今年のお別れの日だよ」  彼らは、声を揃えて言った。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加