2人が本棚に入れています
本棚に追加
私には高校生になった今でも将来の夢が無い、無難に大学に進学すると思う。
市立日樫高校、偏差値は高くもなく低くもなく。
勉強は平均点、運動音痴。
恋愛小説や漫画・アニメが好き‥‥でも恋人もいないし、特に好きな男子もいない。
放課後、恋愛小説を読みながら下校する帰宅部の私。
「おう、鷺ノ宮。今日こそギッタンギッタンにしてやるぜ!」
「またかよ、面倒くせーヤツらだな」
「きゃっ、ごめんなさい!」
小説の主人公がカッコイイ台詞を言ったクライマックスに熱中してた私は、周囲の異変に気付かず、男子の背中にぶつかってしまった。
「落とし物だぜ」
私が落とした眼鏡と小説を拾ってくれた男子が、軽く叩いて私に差し出す。
「あ、ありがとう‥‥」
眼鏡をかけ直すとクラスメートの鷺ノ宮君だと分かった。
そして、5人の不良っぽい学生服の違う男子が輪になって囲まれて‥‥え、なに、どうしよう!?
「オラァッ!」
「男なら拳で勝負しろよ!」
振り下ろされた木刀を殴って軌道が逸れる。
危うく私に当たる所だった。
「鷺ノ宮のスケか? こりゃいい、オマエを半殺しにした後のお楽しみだな。やっちまえ!」
木刀を持った一人と素手の四人が一斉に襲いかかってくる!
「勘違いすんな、ただの通りすがりだッ!」
鷺ノ宮君は、私を背中に守りながら五人を蹴散らす。
私に当たらないように後ろ手で然りげ無く、私を横に押してくれてる。
男子に触られたのって始めてかも‥‥。
最初のコメントを投稿しよう!