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かつては47都道府県で成り立ち、自民党が主に政治を担っていた日本だが、
2116年ネオスに敗戦して半領土してことをきっかけに、日本は大きく変わった。
日本は七州に分けられ、州別に首長が置かれて統治されるようになった。
税率や憲法はかつての日本と同じように全国統一されているが、
州によって独自の法律や税金の追加徴収がある。
政府に従いネオスに従属する代わりに、援助と保護を受けて安寧を求める政府派の州。
今の国の在り方に反発し、度々戦や暴動を起こす反国派の州。
鈴助の住む甲斐長野州のように、
国に従うことも反抗する事もせず援助なしで独立した自治派の州。
政府派、反国派、自治をもっとうとした中立派の三つの派閥に日本は分断された。
京市がかつて住んでいた大江戸東京州はもっとも都会で栄えた政府派の州で、
ネオスの支配がもっとも強いが、高い税金さえ収めていれば、
ネオスの加護を与えられ、安全で裕福な州だ。
鈴助は自由をこよなく愛するので、誰かの下に縛られている大江戸東京州に
住みたくはないが、大勢の国民は大江戸東京州に住みたがる。
それなのに母親を置いて実家を出て、甲斐長野州の高校に進学することを選んだ京市は、
やっぱり少し変わりものだ。
「おい京市、こんな朝っぱらから店にきて、学校はどうしたんだよ」
「何言ってるんですか、鈴さん。今日は土曜日で休みですよ」
京市に言われて卓上カレンダーを確認すると、確かに土曜だった。
「鈴さん、ふだんからだらしない生活してるから曜日感覚がないんですね」
「だらしないって言うんじゃねーよ。土日も休まず毎日働いてんだよ」
「え、でもこの店って定休日あるじゃないですか」
冗談の通じない奴だ。四角四面な京市の斬り返しに鈴助は肩を竦めた。
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