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第〇話 邂逅と壊滅
「見ない顔だな」
「さっき来たばかりだからね」
砂にまみれ古びた建物に入ると、店主からのぶっきらぼうな挨拶が僕達を出迎えた。
まぁこの建物に看板があって、どうやら簡単な食事が採れるようだと言う理由だけで入っただけなので気にしない。
砂漠を二キロも歩いたおかげで砂だらけな上、その炎天下を歩くにはあまりに軽装な痩せこけた少年が二人。
怪しいことこの上ないだろう。
「水か? それともコーヒーがいいか?」
「じゃあ水で」
店主は鼻を鳴らし、コップに水を注いで僕達の目の前に置くと、そのままカウンターの奥に引っ込んだ。
僕はため息を一つ吐き出し、隣に座った少年に声を掛けた。
「なぁ、千里眼君」
「何だい?」
「本当に見えてない?」
「信用ないな。僕の索敵能力は知ってるだろう?」
「君の能力は信用する。でもこうなんて言うのか……」
「『勘』か?」
「そうそれ」
そう答える僕に、千里眼君は呆れ顔で応じた。
「……お前さー、AIのクセに『勘』なんて信じてるのか?」
「信じてるわけじゃないけど、なんかこう、嫌な雰囲気があるんだよ」
僕達は調査のためにここに来た。
『連中』の襲撃予告があったからだ。
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