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安直なネーミングだなぁ。しかも出たとこ勝負と来ている。それに殲滅って言ってもどうせ矢面に立つのは僕だけだ。
それより。
「マリエル。ちょっと協力してもらうよ。君の故郷の奪還も兼ねているからね」
彼女は無言だった。
無理もない。
戦争に一般人を巻き込むのだ。彼女には拒否する権利がある。
その場合は仕方がない。カオルに手伝ってもらおう。
「……分かった。やる」
「……一応言っておく。本当にいいの? 安全な仕事じゃないよ?」
「いいの。私は自分の肉親と居場所を、どこの誰かも知らない人達に奪われた。もう誰もいない」
決然とした目が僕を見る。
「……まぁ君には実のところ適性があるしね。本音を言うと君に持ってもらうと助かる」
カオルだとどうも相性が良くないようで、性能の半分も出ない。
その点マリエルなら問題ない。
ここに来るまでの戦闘で確認したが、前の体より適性が高いくらいだ。
まぁ、前の体は僕専用に調整した強化人間のボディだったから、頑丈さについては圧倒的な差が出るけど。
「大丈夫。怪我してもすぐ治してあげるわ」
カオルが笑顔で受け合った。どこまで本気なのか分からない笑顔だった。
「細かな話はこの砂漠を抜けてからね」
「はい」
「じゃ、張り切って行きましょう。その前にマリエル君は着替えないとね。目の毒かも」
「あ……」
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