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ノーマライズ
人間は、常に誰かを必要としています。
いつでも誰かと繋がっていたいのです。
それにはいろいろな方法があります。愛し合うこと。目的を共有すること。感情をぶつけあうこと。共感すること。
しかし、いちばん有用な方法は。
他者を拒絶することです。
集まって誰かの悪口を言い、世代の特徴を馬鹿にし、住んでいる場所を蔑み、違う性別を罵り、他国を嘲って、ひとは仲良くなっていきます。
それは、地球が滅亡しても変わりませんでした。
宇宙ステーションに残された、最後の人類10万人。
彼らは住んでいる場所や思想、立場の違い、人間としての特性の違いなどでグループに分かれ、いくつかの集団を組織していました。
「ジャンル」と呼ばれる集団です。
1万人以上のジャンルもいれば、数百人のジャンルもいる。
規模は様々ですが、共通しているのは、ジャンル外への嫌悪をジャンル内で共有していることでしょう。「あいつらはクソだ」「あんなのダメに決まってる」「俺たちはそれを知っている」「俺たちは最高だ」。
嫌悪の共有こそ、人と人とを結ぶ絆の正体かもしれません。
人間は、
2人いると序列が生まれ、
3人いるとイジメが起き、
4人いると派閥が出来る。
愛する誰かと一緒に、別の誰かを憎みたい――そんな本能があるのです。だから争い合うのです。
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