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「え、牛タン?!いいの?」
俺は思わず声が上ずりながら返事する。
そもそも同じ県に住んでいてもS市に来るなんて数えるくらいしかなかったし、いつも用事があるから名物なんて食べた事もなかった。
「お、牛タンいがすね。じゃあ駅裏の店さ行くべか。」
圭ちゃんが俺と良平兄ちゃんを振り返って声をかけた。
圭ちゃんに連れられて駅を抜けて、駅裏の細い路地へと向かう。
「圭ちゃん、よく知ってるね。」
大股で歩く圭ちゃんに置いていかれないように、俺と良平兄ちゃんは着いて行く。
「さっきも言ったべ、たまに仕事で来っからさ。都会のお偉いさん達が来っとだいたい牛タンって言われっからな。さ、着いたぞ。」
圭ちゃんはそう言うと同時にドアを開けてお店の中へ入って行く。
「いらっしゃいませー!小上がりの席へどうぞ!!」
店の奥から威勢の良い声が聞こえてきて、座敷へ上がるように案内される。
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