洋人と圭介

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庭先で漁の準備をしながらいわし雲を見上げ、俺はぼんやりと近いうちに雨が降るんだろうなぁなんて考える。 夏休みは終わったけれど、今日は高校の文化祭が行われている。 野球部だったから毎年文化祭は駐車場整理とかに駆り出されていたけれど、もう引退してるからその必要もない。 奈波は引退したけど、部活の出し物の手伝いに行くって言ってたっけ。 そう、今年の夏休みが濃いと思った理由。 幼馴染みたちの進路を知った事。 この町が最大に盛り上がる港まつりで、物産店のアルバイトをした事と、奈波と一緒に花火を見た事。 運転免許を取って、奈波と初めての買い物に行った事。 出来事のすぐそばに、奈波がいた。 奈波の表情、しぐさ、言動から目が離せなかった。 その理由が俺にはよくわからない。 それを考えると胸の奥がざわざわとして落ち着かなくなるけれど、目の前にある養殖棚用の網の手入れを黙々と行って気を紛らわせようとする。
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