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「よー洋人。元気してっか?」
運転席のドアをバンッと勢いよく閉めて豪快に笑いながら、圭ちゃんが俺へと声をかける。
圭ちゃんは俺の二番目の兄ちゃんの同級生で、同じ都会の大学に通った後にこの町に戻ってきて地元の産直市場で働いていた。
一緒の大学に通っていた良平兄ちゃんは今もその大学の大学院に通っていて、この町には居ない。
大学へは父ちゃんの弟、つまりはおじさんの家から通っていて、勉強が忙しいからかほとんどこの町に帰ってくる事はなかった。
「元気だよ。圭ちゃんどうしたの?」
俺が圭ちゃんへと返事をすると、ムクは不審者じゃないと分かったらしく、やっと吠えるのをやめた。
圭ちゃんは吠えるのをやめたムクに近付くとその大きな手でガシガシと撫で始めた。
ムクは喉を鳴らしながら気持ち良さそうに圭ちゃんに撫でられ続ける。
「相変わらずこのワンコ、おめに似てんな。なぁ、明後日予定空けとけよ。S市さ行くぞ。」
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