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「こんちはー、圭介っス。明後日洋人を借りてもいがすか?」
圭ちゃんが大声で家の裏庭で作業をしている父ちゃんへと声をかける。
ほんの少しの間の後、低い声で「あぁ。」とだけ返事が返ってくる。
それを聞いて圭ちゃんが満面の笑みで俺を振り返る。
「オッケーでだから、ちゃんと明後日開けておけよ。朝7時半には車でここさ来っから。あ、ちゃんと免許証持ってこ。じゃ、配達途中だったから俺は仕事さ戻るわ。」
圭ちゃんは一息ですべてを言い終えると、再び白い軽ワゴンに乗り込み、エンジンをかけたと同時に颯爽と坂道を下って家から去っていった。
俺とムクは若干ポカーンとしながらも、久しぶりにS市に行くワクワク感も感じていた。
普段は行っても町の中心部のスーパーくらいだから、S市の様な都会に行くとなるとなんだか旅行にでも行く様な気分だ。
奈波に何か美味しいものでも買って来ようかな。
ぼんやりとそんな事も思った。
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