第1話脚本 本文

1/11
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

第1話脚本 本文

※アバン ◯ポリヴィーレ市・市役所前広場   晴れ晴れとした青空と、鳥の鳴き声。   市役所前の広場にごった返す市民。   出店が幾つも出ており、商人が呼び込みを行い、客が商品を手に取っている。   大道芸人がパフォーマンスを繰り広げ、子供と大人が5組ほど連れ立って見ている。子供は楽しそうに拍手をしている。   地面に広げたシートの上に幾つかの絵画を置いている男性。女性が一つの絵を拾い上げ、頷いてお金を男性に差し出す。 アナウンスの声「シンギュラリティ10週年記念祭にお集まりの皆様、本日のご来場、誠にありがとうございます。本日の露店・フリーマーケットは、お陰様で大盛況となっております。ご参加の皆様におかれましては、大変混雑しておりますので、熱中症などのアクシデントに十分お気をつけください。体調不良のほか、お店の検索、本日のタイムスケジュール、お手洗いの場所など、どのようなご相談でも、お近くのAIコンシェルジュがお答えいたします。どうぞお気軽にお声がけください」  会場内をスムーズに移動している、円筒形のロボット。市民が声を掛けると、空中にモニターを映し出して答えている。他の場所では、ロボット同士が相談するように2台寄り添っている。 アナウンスの声「さて、間も無く14時からは特設ステージにて、ポリヴィーレ市の市長AI、アレノフよりご挨拶がございます。皆様、どうぞお近くでご覧くださいませ」 ◯同・ステージ前  ステージ前に聴衆が集まり、ざわついている。ステージはマイクもなく、空である。 アナウンスの声「それでは只今より、本市の市長AIでありますアレノフより、ご挨拶賜ります。アレノフ市長、よろしくお願いいたします」  ステージ裏の階段を登るアレノフの足。グレーのスラックスの裾、黒い靴下、輝く黒の革靴は人間と全く同じ。  アレノフが登壇する。背格好や顔立ちは50代程度の男性らしく、ロマンスグレーの髪をオールバックにし、グレーのスーツに身を包み、白いシャツ、赤いネクタイを締めている。  アレノフが一礼し、口を開くと、スピーカー越しの音声が響く。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!