ハルを想う

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ハルを想う

春は嫌いだ。出会いと別れを繰り返して結局何かを失ってしまうから。 春の桜が嫌いだ。あんなにも美しく咲いていたのにすぐに儚く散ってしまうから。 春の風が嫌いだ。少しだけ暖かくなった優しい風が身を包み彷彿とさせるから。 春の陽気が嫌いだ。いつも明るくて、輝いていて、自分には眩しすぎるから。 春の空が嫌いだ。澄み渡っていて穏やかな空を見ていないと零れてしまうから。 冬を越えて迎える春が本当に嫌いだ。 季節が変わったと否が応にも理解させられこの時期が来たのだと気付かされてしまうから 僕は君が好きだった。あの日、桜の木の下で。 『私も好きだよ。あなたと出逢えた春が好き』 僕は春が嫌いだ。 君を想い出してしまうから。
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