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吉本いさむ。僕と中学からの親友だ。音楽の才能はすごく、ギターもサックスもうまい。
中学の入学式の時たまたま僕の前に並んだのが運の尽き。「おなじ吉つくから、よろしく」と悪魔のささやきから始まった。僕のええとこも悪いとこ(無いんやけどなぁ)もほとんど知っている。僕らはいさむ君と呼んでいた。これで顔がよければモテモテなんだが、ガリバー君みたいな顔やから(すまん、いさむ君、許せ)僕と同じく全然もてへん。僕たちは、いつも勝浦の女どもは本当のかっこええ男というものをわからんのやよ。とお互いになぐさめあっていたのである。「なんか福祉協会で働きやるみたいやで。あんたも頼んでいれてもらいなぁー。」「お母ちゃん、今、平山のおばさんの話したばっかしやん。かなわんなぁ。」「ほんまやなぁ。ぼけてきたわー」僕らは、真っ黄色のこんこをバリバリ言いながらお茶づけを食べている。「あー、うまかった。やっぱり、つけもんは、こんこやなぁー」「たけちゃん、東京住んでたけど、ぜんぜん東京弁やないねぇ。」「ばかいっちゃいけないよ。しっかり東京のおにいさんじゃん、じゃん。」「なんなん。相変わらず、あほやねぇ。」「ほんま、母親の顔みてみたいわ。こんなアホのおにいさんの。あっははは。」「ほんまや。」これが勝浦の親子の日常の会話である。平和だ。僕は、その後、役場へ行きいろんな手続きをして
スーパーおおかわ北浜店に寄り、今晩のいさむ君との『たけちゃんお帰りなさい。ご苦労様でした。今晩は飲むもんねの宴』の買い出しをしてハイツに戻った。 つづく。
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