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「いよいよなんだね」
「そうですね」
「聖に説明は・・・・・・明日になるな」
「大丈夫、聖ならみんなについてきてくれる」
梅林に私が現れたあの日から徐々にみんなの緊張感は高まっていた。
そして、私たちの世界から仄暗いものがこちらの世界へひたひたと近づいてきていた。
それはもちろん分かっていたことだった。
だからこそ、コハクをはじめとしてみんなは随分と前から準備をしていた。
聖の元に集っていたのだ。
しかし仄暗いものがどこからこちらへやって来るかまでは見定められずにいた。
だがここへ来てようやく場所を突き止めることができた。
カスミが出入りしてくれていたあの神社の桜だ。
その桜の木の下から気配は湧きあがろうとしていた。
それ感じ取れたのは私たちがそれぞれのチカラを使った結果だけれど、それは私たちだけのチカラではない。
聖の存在が大切なのだ。
彼がいることで私たちの力をこちら側で安定させ拡張させることができる。
そしてまた、みんながいることで聖自身のチカラを発揮できるのだ。
聖にとって今までとは違う時間がやって来ようとしていた。
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