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「これこのくらいの大きさでいいの?」
「んー、その半分ぐらいの大きさがいいかもしれない」
「つけダレどうしましょうかね?」
「オレは甘めが好きかも」
聖は目の前で繰り広げられているその光景を微笑ましくも複雑な気持ちで眺めていた。
『肉とか食べたい』と、そうひとこと聖がこぼしたのは昨夜のことだったか。
仕事から帰宅すると、その聖のひとことを聞き逃していなかった同居しているものたちが夕食にとバーベキューの準備をしてくれていた。
ついにコハクは馴染みの青果店でアルバイトを始めたらしく、その働きぶりも評価されているようで女将さんが時々野菜を持たせてくれるらしい。
今コハクが切っている玉ねぎもその1つなのだろう。
料理の間にも洗濯物を片付けるチトセは、この大所帯になりつつあるこの家の家事全般を担っていた。
料理はあまり得意でないらしくみんなのサポートをしているような、味見をしているだけのようなカスミは、いつの間にか近くの神社で手伝いをしているらしい。
この間聖はお守りをもらって、そのことを知った。
そして、手つきが危なっかしいコハクを見守りながら手際よく準備を進めているルリのことはというと・・・・・・。
聖はまだよく分かってはいなかった。
不思議に安心感を覚えるということ以外は。
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